暴力団対策について
暴力団対策は、あらゆる分野で強力に進められています。
暴力団の不当要求は、暴力団員自身が当事者となった交通事故のような偶発的なものは別として、次のようなプロセスを経ることが普通の手口です。
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接近(接触)
暴力団はターゲットとする事業所等を選び、接触を図ってきます。みかじめ料の要求、情報紙(誌)の購読要求、下請けへの参入要求、スキャンダルなど事業所の弱みにつけ込んでの要求など、さまざまな態様があります。
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攻 撃
事業所等が要求に応じないと、独特の「脅しのテクニック」で直接的な暴力行為に及ぶまでもなく、畏怖、困惑させて要求を通そうとします。
- 「暴力団は怖いもの」というイメージを最大限に利用して、相手を屈服させようという手口です。
社長(親分)がそれでは納得しない、街宣車をもってくる、返事は組事務所へもって来い・・・など恐怖心をあおるやり方です。 - 「何とか早くこの交渉から逃れたい」という心理的弱点を利用する手口です。
毎回押しかけてくる、自宅まで電話がかかる、話の中で言葉尻をとらえて追求する・・・など、精神的、肉体的にかく乱するやり方です。
- 「暴力団は怖いもの」というイメージを最大限に利用して、相手を屈服させようという手口です。
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目的達成
事業所等が根負けして金を出すと、一旦はおさまります。しかし、次にそのことを理由とする再接近(再接触)や、組みやすしと思われて別の問題を持ち込んでくることがあります。また、このことを知った他の暴力団の介入を招くことも心配です。
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再接近(再接触)
被害を受けないような予防的措置
暴力団の違法、不当行為で被害を受けないよう、暴力団対策法では次のような対策を定めています。
- 各事業所で、あらかじめ「不当要求防止責任者」を選任して、公安委員会に届出し、暴力団対策に関する実務的な講習を受ける。(万一暴力団の接近、接触があったときは、毅然とした組織的な対応方針を決め、この責任者を中心に対処する。)
- 指定暴力団員の暴力的要求行為を禁止し、これに従わないとき、公安委員会は中止命令(再発防止命令)を発出して抑止を図る(中止命令の発令を警察署長に委任しています)。 令和5年中の千葉県における中止命令、再発防止命令は、計50件発出しています。 暴力団対策法以外にも風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、貸金業法、警備業法、建設業法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などの許可基準の中に暴力団勢力を排除することを定めています。
刑事事件として検挙取締り
警察では刑法ばかりでなく、暴力行為等処罰に関する法律、爆発物取締罰則、麻薬及び向精神薬取締法、覚せい剤取締法などさまざまな特別法の規定を適用して、検挙取締りをしています。
令和5年中における千葉県の暴力団勢力の検挙人員を罪種別にみると次のとおりです。
①覚せい剤取締法違反 ②傷害 ③詐欺 ④大麻取締法違反 ⑤窃盗 ⑥恐喝
損害賠償請求訴訟など被害の回復
暴力団の違法、不当な行為で損害を受けたとき、損害賠償を求めるという対策が、関係者の勇気とそれを支援する弁護士の努力で全国的に進められています。
現場で違法、不当な行為をした組員ばかりでなく、組長等についても使用者としての責任、あるいは共同不法行為を行ったという責任を追及しています。
- 暴力団組員に約3億2000万円余を脅し取られた事件で約2億2000万円余の損害賠償判決。(平成9年9月30日千葉地裁)
- 暴力団組員らに拉致監禁され現金等を奪われた事件で暴力団対策法による総裁、会長等に対する使用者責任損害賠償訴訟において、責任を認める和解が成立。(平成25年6月17日千葉地裁)
- 暴力団対立抗争事件で、一般市民の自宅アパートにけん銃を誤射した発砲事件で暴力団対策法による組織の使用者責任損害賠償訴訟において、責任を認める和解が成立。(令和3年4月9日千葉地裁)
暴力団の違法、不当な行為は許さない」という全国民の決意
暴力団対策の基盤は、何といっても「暴力団の違法、不当な行為は許さない」という全国民の強い決意です。
これまでにいろいろな地域、職場で暴力団、総会屋等との絶縁宣言が行われ、また地域住民のねばり強い活動によって暴力団事務所の撤去(進出阻止)も大きな成果をあげました。
暴力団を追放し、明るい安全な社会を築くためには、国民各界、各層の人たちの「社会対暴力団」という共通の対決意識と、勇気を持って、ねばり強く、永続的に活動することが何より大切です。県民会議はこのような活動をすすめるために設立されたものです。